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前回から引き続き、代表取締役等の住所非表示措置について書きます。
代表取締役等の住所非表示措置は、一定の要件の下、株式会社の代表取締役、代表執行役又は代表清算人(以下「代表取締役等」といいます。)の住所の一部を登記事項証明書や登記事項要約書、登記情報提供サービス(※)(以下「登記事項証明書等」といいます。)に表示しないこととする措置です。
代表取締役等の住所非表示措置が講じられた場合、登記事項証明書等において、代表取締役等の住所は最小行政区画【※市区町村まで(東京都においては特別区まで、指定都市においては区まで)記載されます。】までしか記載されないこととなります。
代表取締役等住所非表示措置の申出に当たっては、以下の区分に応じた書面の添付が必要となります。
上場会社である株式会社の場合、添付書面が簡易で済むのですが、上場会社以外の株式会社の場合、以下の書面が必要となります。
⑴株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面
⑵代表取締役等の氏名及び住所が記載されている市町村長等による証明書(例:住民票の写しなど)
⑶株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面
⑴の書面について
ⅰ当該申出と併せて行う登記の申請を受任した資格者代理人である司法書士等によって、当該株式会社が本店の所在場所において実在することを確認した書面又はⅱ当該株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便若しくはこれに準ずるものとして法務大臣が定めるものにより送付されたことを証する書面の添付を要するとされております。
ⅰについて
法務省から様式が公開されております。
「当職は、本件登記申請の代理人として、以下のとおり、申請に係る株式会社が登記簿上の本店所在場所に実在することを確認したことから、その旨を証明する。」という文言のもと、1本店、2商号、3代表取締役等住所非表示措置の対象者、4本店実在性の確認の日時・方法、5本店実在性の具体的確認方法について記載する内容となっております。
①何をもって実在性があるとするのかが正直よくわかりません。
ⅱの書面とのバランス上、書類が届けばよしとするのか等
②オフィスを借りてやるビジネスもあれば、自宅で開業しても大丈夫なビジネスもあります。
個室をもってやるビジネスもあれば、バーチャルオフィスで足りるビジネスもあります。
ビジネスのやり方に伴い、本店のあり方も変わってくると思います。
①と絡みますが、バーチャルオフィスで本店の実在性をどのように証明するのでしょうか?また、執務スペースを設けずに自宅で開業した場合、本店の実在性をどのように証明するのでしょうか?
③管轄外の本店移転では、移転先の本店所在場所を確認することが求められます。
先日付けの本店移転議事録を頂いて、日付が到来したら本店移転移転登記を申請するということを実務上行うことがよくあります。
実在性を確認できない場合、本店移転の日付で登記を申請できない事態が生じるのかもしれませんね。
ⅱについて
配達証明書と併せて当該株式会社の商号及び本店所在場所が送付先として記録された郵便受領証の添付を要し、当該配達証明書及び郵便物受領証に記載された当該株式会社の商号又は本店所在場所が登記記録と合致しない場合には、代表取締役等の住所非表示措置を講じることは出来ないとされています。
書留・配達記録郵便物受領証(お客様控え)をご覧になってみるとわかるのですが、「受取人の氏名」とされており、「本店」も書く欄がないのです。
ですが、「受取人の氏名」の欄に、「本店」も書かないとアウトです。
「受取人の氏名」の欄に、「本店」を書いて受領して頂けるかは、郵便局の裁量になります。
ちなみに、郵便物の受取証明証は、配達員の方が書くのですが、こちらにも「本店」を書く欄がありません。