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自筆証書遺言保管制度⑧

今回は、「相続開始後の手続きの事例」について触れたいと思います。


1.保管制度の運用開始からしばらく経ち、遺言書情報証明書や遺言書保管事実証明書の請求が徐々に増えてきているようです。

遺言書情報証明書とは、相続人等が遺言書の内容を確認するための証明書です。

遺言書保管事実証明書とは、相続人等が遺言書が預けられているか確認するための証明書です。

相続人自身で必要書類を用意してこれらの証明書を請求することが多いですが、必要書類が十分でなく補正が必要となることもあります。

①保管証や死亡時通知があれば、遺言書情報証明書や遺言書保管事実証明書を取得できるものと勘違いして戸籍謄本等の用意がない。

②法定相続人が配偶者、兄弟姉妹になるケースで、遺言者に加えその両親や死亡した兄弟姉妹の戸籍謄本が不足している。

上記のようなケースが見受けられるそうです。

上記の他に遺言書情報証明書や遺言書保管事実証明書に関する事例について触れていきます。


2.遺言書情報証明書について

①遺言者の住所等の変更届が未了のまま相続が開始した場合
※遺言者の住所、氏名、出生年月日及び本籍に関する変更の届出が未了のまま相続が発生した場合、遺言者の特定は添付書類に記載した氏名と出生年月日、若しくは氏名と住所により遺言者本人であると認定されることになります。
請求人が提出した書類から、氏名及び出生年月日又は住所により同一人であると認められれば、変更を証する書類を提出する必要はありません。


②相続人の中に外国在住の者がいる場合に、法定相続情報一覧図(相続人全員の住所入り)を添付したもの
※相続人の住所の記載がある法定相続情報一覧図の写し(作成後3か月以内のもの)を添付した場合、交付請求書の相続人欄の用紙の記入を省略することができます。
相続人の中に外国在住の者がいる場合であっても同様に省略できますが、情報証明書の発行後に関係遺言書保管通知を国際郵便で発送する際に、住所と氏名のアルファベット表記が不明な場合、そのままでは発送できません。
そこで、例えば、備考欄等に住所と氏名のアルファベット表記の記載があると、関係遺言書保管通知の国際郵便による発送が可能になります。

③作成後3か月を超過した法定相続情報一覧図を添付して請求されたもの
※作成後3か月を超過した法定相続情報一覧図は、相続をする書類として使用することができますが、相続人の住所を証明する書類の要件を満たさないため、別途住民票等が必要となります。


3.遺言書保管事実証明書について

①受遺者等又は遺言執行者等の住所等の変更届が未了のまま相続が開始した場合
※受遺者等又は遺言執行者等からの請求の場合に、当該受遺者等から住所等の変更があったことを証明する書類の提出があり、当該受遺者等との同一性を確認することができる場合は、「保管されている」旨の証明書が交付されます。
受遺者等又は遺言執行者等の氏名、住所等と請求書の記載が一致しない場合は、当該遺言者が遺言書保管所に遺言を保管していた場合であっても、自己を関係相続人等とする遺言書の保管はされていないと判断されるため、「保管されていない」旨の証明書が交付されます。