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自筆証書遺言保管制度③

先月に引き続き法務局における自筆証書遺言保管制度について書きたいと思います。

今回は「保管申請から遺言者の死亡までの手続き」について触れたいと思います。

1.遺言書の閲覧
遺言者は、いつでも遺言書が保管されている法務局(遺言書保管所)の遺言書保管官に対して、保管された遺言書の現物の閲覧を請求出来ます。
遺言書の現物ではなく、モニターによる閲覧の場合には、全国どこの遺言書保管所でも、閲覧の請求をすることが出来ます。

注意事項
①閲覧の請求が出来るのは、遺言者本人のみです。
②現物の閲覧の場合及びモニターによる閲覧の場合、いずれとも本人の出頭は必須です。
③閲覧は出来ますが、写しの発行は予定しておりません。
④閲覧の請求の予約が必要です。
⑤添付書類は不要ですが、本人確認のため、顔写真付きの身分証明書の提示が必要です。
⑥保管された遺言書の現物の閲覧の場合、1回1,700円の手数料が必要とされ、モニターによる閲覧の場合、1回1,400円の手数料が必要とされます。

2.遺言者、受遺者、遺言執行者等の氏名、住所等の変更届出
遺言が保管された後、遺言者、受遺者、遺言執行者等に一定の事項が生じた場合には、速やかに法務局(遺言書保管所)に届け出なければなりません。
全国どこの遺言書保管所に対しても出来ます。

注意事項
①変更の届け出を怠った場合のペナルティは置かれていません。
ただし、遺言者の死亡後の手続きにおいて、これらの者の特定が困難になったり、法務局(遺言書保管所)からの通知が届かない等、遺言の内容の実現が困難になる可能性があります。
自筆証書遺言保管制度には、関係者への通知制度があります。
この制度が機能することによって、自筆証書遺言が発見しやすくなり、紛失リスクがなくなります。
この制度が機能しないと、自筆証書遺言が発見されず、法務局に保管されたまま放置されて、相続手続きが進行するリスクがあります。
自筆証書遺言を書いて法務局に保管の申請をしたからといって放置していては危険です。
変更の届け出を忘れずにしましょう。
②遺言者本人以外にも法定代理人が行うことが出来ます。
③郵送でも可能です。
④変更届け出の予約が必要です。
⑤変更が生じたことを証する書面(住民票の写し、戸籍謄本等)、請求人の身分証明書のコピー等の添付書面が必要です。
⑥手数料はかかりません。

3.保管の撤回
遺言者は、いつでも自ら出頭して遺言の保管の撤回をすることが出来ます。
保管の撤回ができるのは、遺言書の原本が保管されている法務局(遺言書保管所)のみです。

注意事項
①あくまでも、保管の撤回であって、遺言自体(遺言内容)の撤回ではありません。
還付されても遺言自体は引き続き効力を有します。
②遺言者本人のみが出来ます。
③遺言者の本人確認のため、運転免許証等顔写真付きの身分証明書の提示が必要となります。
④撤回の予約が必要です。
⑤添付書面は不要ですが、保管の申請後に遺言者の氏名、住所等に変更が生じた場合、変更が生じたことを証する書面を添付する必要があります。
⑥手数料はかかりません。