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相続土地国庫帰属制度 その3

【業務情報】

 

相続土地国庫帰属制度について

 

 

相続土地国庫帰属制度は、国が相続人の望まない土地を引き取ってくれる制度です。

 

不要な土地を相続した方は、関心が高いと思います。

 

前回から引き続き相続土地国庫帰属制度の概要について書きたいと思います。

 

 

 

引き取ることができない土地

 

 

国が引き取ることができない土地の要件については、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(令和3年法律第25号。以下「法」といいます。)において定められています。

 

 

【引き取ることができない土地の要件の概要】

 

①申請をすることができないケース(却下事由)(法第2条第3項)

その事由があれば、直ちに、通常の管理又は処分をするに当たって過分の費用又は労力を要するものと扱われる土地の類型は、ⅰ~ⅴのとおりです。

これに該当する土地については、国庫帰属の承認申請をすることができません。

 

ⅰ建物がある土地

ⅱ担保権や使用収益権が設定されている土地

ⅲ他人の利用が予定されている土地

ⅳ土壌汚染されている土地

ⅴ境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲について争いがある土地

 

 

ⅴの要件について

 

境界(所有権の範囲)が明らかな土地とは、以下の(1)(2)を満たしている土地をいいます。

※測量や境界確認書の提出まで求めるものではありません。

 

(1)申請者が認識している隣接土地との境界が表示されていること

※既設境界標、地物、地形又は工作物等の存在により境界点を表示することができる場合は、それらを申請者が提出する図面に表示します。

それらが存在しない場合は、申請者が認識する境界を表示するため、申請者が境界点を表示する目印を設置し、申請者が提出する図面に表示し、申請者が認識している隣接土地との境界を表示する必要があります。

 

(2)申請者が認識している申請土地の境界について、隣地所有者が認識している境界と相違がなく、争いがないこと

※承認申請後、法務局から隣接する土地の所有者の方へ、境界争いの有無等について確認の連絡があります。

 

 

相続した土地を処分したいけど、相続した土地がどこにあるのかわからないという相談事例がたまにあります。

そのような事例において現地調査せずに申請すると、ⅴの要件との関係で申請が却下されます。

 

 

②承認を受けることができないケース(不承認事由)(法第5条第1項)

土地の種別や現況、隣地の状況等を踏まえ、実質的に通常の管理又は処分をするに当たり、過分の費用又は労力を要する土地に当たると判断される土地の類型は、ⅰ~ⅴのとおりです。

これに該当する土地については、国庫帰属を不承認とする処分がされることとなります。

 

ⅰ一定の勾配・高さの崖があって、管理に過分な費用・労力がかかる土地

ⅱ土地の管理・処分を阻害する有体物が地上にある土地

ⅲ土地の管理・処分のために、除去しなければいけない有体物が地下にある土地

ⅳ隣接する土地の所有者等との争訟によらなければ管理・処分ができない土地

ⅴその他、通常の管理・処分に当たって過分な費用・労力がかかる土地

 

 

ⅴの要件について

 

政令では以下の類型が挙げられています。

 

(1)災害の危険により、土地周辺の人や財産に被害を生じさせるおそれを防止するため、措置が必要な土地

(2)土地に生息する動物により、土地や土地周辺の人、農産物、樹木に被害を生じさせる土地

(3)適切な造林・間伐・保育が実施されておらず、国による整備が必要な森林

(4)国庫に帰属した後、国が管理に要する費用以外の金銭債務を法令の規定に基づき負担する土地

(5)国庫に帰属したことに伴い、法令の規定に基づき承認申請者の金銭債務を国が承継する土地

 

 

森林を相続したけど、放置して管理していないケースでは、(3)の類型にあたる場合があります。