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前回に引き続き「法定相続情報証明制度」について触れたいと思います。
従来より、相続手続では、お亡くなりになった方の戸除籍謄本等の束を相続手続を取り扱う各種窓口に何度も出し直す必要があります。
法定相続情報証明制度は、登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束とともに、相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出していただければ、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付します。
その後の相続手続は、法定相続情報一覧図の写しを利用いただくことで、戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなります。
1.手続きの流れ
①必要書類の収集
法定相続情報制度を利用するにあたって、一般的には以下の書類が必要となります。
ⅰお亡くなりになった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍等
ⅱお亡くなりになった方(被相続人)の住民票の除票(又は戸籍の附票)
ⅲ相続人全員の戸籍謄本
ⅳ申出人の住所、氏名を確認できる公的証明書(運転免許証等)
ⅴ法定相続情報一覧図
ⅵ申出書
なお、法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合、各相続人の住民票が必要となります。
②法定情報一覧図の作成
①で集めた戸籍謄本等から相続関係説明図を作成します。
様式記載、記載例は法務省のサイトをご参照ください。
③申出書の記入及び法務局への申出
申出をする法務局は、
ⅰお亡くなりになった方(被相続人)の死亡時の本籍地、
ⅱお亡くなりになった方(被相続人)の最後の住所地、
ⅲ申出人の住所地、
ⅳお亡くなりになった方(被相続人)の不動産の所在地、
から選択します。
法定相続情報が交付される期間ですが、管轄する法務局の混み具合によりますが、一般的に申出をしてから一週間ぐらいかかります。
もっとも、申出に不備があると補正することが求められ、補正に時間がかかると法定相続情報が交付されるまで、さらに時間がかかります。
スムーズに手続きを進めたい場合には、司法書士等の専門家をご活用ください。
2.各種相続手続きへの活用
これまで相続による不動産登記申請をする場合には、原則、申請する法務局ごとに、お亡くなりになった方の戸除籍謄本等の束を提出する必要がありました。
今後は、原則として、法定相続情報1通提出することにより申請が可能となります。
複数の法務局管轄に不動産がお持ちの方の相続による不動産登記申請をする場合は、法定相続情報を複数取得すれば、戸除籍謄本等の束を重複して用意しなくても登記申請可能です。
また、相続登記以外にも、①相続税の申告手続き、②年金等手続き、③預貯金等相続手続き、④保険金の請求、保険の名義変更手続き、④有価証券の名義変更手続き、⑤自動車の名義変更手続き等へも活用可能です。