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代表取締役等の住所非表示措置について その5

前回から引き続き、代表取締役等の住所非表示措置について書きます。

 

代表取締役等の住所非表示措置は、一定の要件の下、株式会社の代表取締役、代表執行役又は代表清算人(以下「代表取締役等」といいます。)の住所の一部を登記事項証明書や登記事項要約書、登記情報提供サービス(※)(以下「登記事項証明書等」といいます。)に表示しないこととする措置です。

 

代表取締役等の住所非表示措置が講じられた場合、登記事項証明書等において、代表取締役等の住所は最小行政区画【※市区町村まで(東京都においては特別区まで、指定都市においては区まで)記載されます。】までしか記載されないこととなります。

 

1.今回の改正による代表取締役等の住所非表示措置は、申出と併せて申請される登記によって記録される住所に限って講じられるものであり、履歴事項全部証明書、閉鎖事項証明書及び閉鎖登記簿謄本に記載された住所を含め過去の住所は対象外です。

その1では、どこまで遡って住所の非表示措置をしてくれるのかは正直わかりませんと記載しましたが、法務省から公開された記載をみる限り、今回の住所のみ住所非表示措置が講じられるようです。

重任の際に、住所を変更されていない代表取締役等の住所を非表示にする実益はあまりないと思います。

 

2.代表取締役等の住所非表示措置の継続

代表取締役等住所非表示措置が講じられた株式会社の登記申請があった場合、代表取締役等住所非表示措置が講じられている代表取締役等の住所と同一のものを登記するときは、登記官は、当該代表取締役等の住所につき、引き続き代表取締役等の住所非表示措置を講ずるとされております。

既に、代表取締役等住所非表示措置が講じられている代表取締役等であっても、当該代表取締役等の住所に変更がある登記の申請をする場合には、改めて代表取締役等の住所非表示措置の申出が必要となります。

 

①代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合には、登記事項証明書等によって会社代表者の住所を証明することができないこととなるため、代表取締役等の住所がどのようにされているのかの確認が必要となります。

会社担当者の記憶を鵜吞みにして申請したら登記簿の住所と現在の住所が異なっていたため、代表取締役等住所非表示措置が終了してしまったという事態が発生しかねないと思います。

重任登記は、代表取締役等の住所が異なっていても申請できます。

法務局サイドの対応としては、現時点で、代表取締役等の住所が異なっているため、代表取締役等住所非表示措置が終了する旨の確認の連絡をするかは任意のようです。

代表取締役等住所非表示措置が講じられた会社の取り扱いは要注意だと思います。

 

代表取締役等住所非表示措置が講じられている代表取締役等の住所と同一のものを登記するときは、登記官は、当該代表取締役等の住所につき、引き続き代表取締役等の住所非表示措置を講ずるとされておりますが、「同一」であるとはどこまでOKなのか不明な点があります。

 

例えば、ビル名、部屋番号があるなしで「同一」と言えるのか、住所を正確に表記する場合とー(ハイフン)で表記する場合で「同一」と言えるのか等よくわかりません。

株式会社の設立時での同一商号同一本店の判断と同様に考えるのか等今後の実務の動向を慎重に見極めたいと思います。

 

3.代表取締役等の住所非表示措置について、パブリックコメントでも以下の回答がされております。

「今回の改正案は、登記事項証明書等に行政区画以外の代表取締役等の住所が記載されないことで、当該会社の取引に支障がない場合に申し出ることを想定しているものです。」

登記事項証明書等に行政区画以外の代表取締役等の住所が記載されないことが、会社にとって支障がないのか否か、申請人サイドにおいて慎重に判断が必要となります。

今回の改正による代表取締役等の住所非表示措置を開始したのち、取引の相手方等から、代表者の本人確認資料として、「代表者の住所が記載された登記事項証明書」が求められたとしても、非表示措置を継続したまま「代表者の住所が記載された登記事項証明書」の交付を受けることはできませんので、ご注意ください。

 

法務省が推奨している制度ではありませんので、ご注意ください。

 

東京商工リサーチでも以下の記事がありましたので、ご参照ください。

 

代表者の一部住所の非公開がスタート、選択するか「わからない」が半数 与信上「マイナス評価」が約2割