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デジタル遺産 その3

【業務情報】

 

その2に引き続き、「デジタル遺品」について触れたいと思います。

 

 

 

日本法制度においては、デジタル遺品を直接規定する法制度等は存在しません。

 

 

そのため、デジタル遺品を法的にどう処理するかについては、既存の法律の枠組みの中で検討せざるを得ません。

 

 

 

 

「デジタル遺品」について明確な定義はありませんが、「パソコンやスマートフォン等のデジタル機器に保存されたデータやインターネットサービスのアカウント等」と定義させて頂きます。

 

 

デジタル遺品は、「オフラインのデジタル遺品」と「オンラインのデジタル遺品」の二種類に分類されております。

 

 

今回は、「オンラインのデジタル遺品」について検討したいと思います。

 

 

 

 

「オンラインのデジタル遺品」とは、オンラインという言葉が示すとおり、インターネットに繋がっている状況(オンライン)を前提としたデジタル遺品であり、デジタル遺品の定義の後半部分である「インターネットサービスのアカウント等」を指します。

 

 

具体例として、SNS(ソーシャルネットワークサービス)、ネット証券、Amazon等の各種インターネットサービスのアカウントが挙げられます。

 

 

その本質は、「契約」(債権)であり、第三者(サービス提供者)の存在を前提とします。

 

 

そのため、原則として相続の対象となるが、各アカウント(契約)が一身専属性を有する場合、相続の対象から外れます。

 

 

ちなみに、一身専属性を有するか否かは、各サービスの利用規約を確認することになります。

 

 

例えば、LINEヤフー共通利用規約には令和6年10月1日現在、以下のような規定が設けられております。

 

 

 

4. アカウントの登録情報

 

 

4.4. アカウントは、お客様に一身専属的に帰属します。アカウントの登録が必要な当社サービスにおけるお客様のすべての利用権は、第三者に譲渡、貸与その他の処分または相続させることはできません。

 

 

このように、利用規約において、一身専属性が明記されている場合、当該インターネットサービスのアカウントに一身専属性が認められる可能性があるため、ユーザーであった故人の相続が開始した場合、アカウント自体の相続ができないことになります。

 

 

なお、利用規約に一身専属性が明記されていない場合であっても、サービス提供者が相続を認めないケースもあるので、要注意です。