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自筆証書遺言保管制度⑤

先月に引き続き法務局における自筆証書遺言保管制度について書きたいと思います。

今回で最終回になります。

今回は「法務局における自筆証書遺言保管制度を使う場合の留意点」について触れたいと思います。

以下の観点を考慮しつつ自筆証書遺言保管制度を使うか検討する必要があると考えます。

①遺言者が本制度が求める自筆証書遺言を自筆することが出来るのか?
②官公署が発行した写真付き本人確認資料を持っているのか?
③遺言書保管所への出頭が可能なのか?
④遺言書の記載の意味内容が不明確である等遺言者の死後争いを生じさせるおそれがないか?
⑤遺言書が法務局(遺言書保管所)に保管された後、遺言者、受遺者、遺言執行者等に一定の事項が生じた場合には、速やかに法務局(遺言書保管所)に届け出ることが出来るか?
⑥裁判所の検認手続きは不要となるが、遺言書情報証明書の請求には検認手続きと同様に、遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍(除籍)謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の住民票の写し等の相続証明書が必要であることを認識しているのか?

①について
自筆証書遺言を自筆出来ないと、自筆証書遺言保管制度は利用出来ません。

②について
官公署が発行した写真付き本人確認資料を持っていないと、自筆証書遺言保管制度は利用出来ません。

③について
遺言書保管所への出頭が出来ないと、自筆証書遺言保管制度は利用出来ません。

④について
法務局(遺言保管所)では遺言の内容の相談が出来ません。
複雑な内容の遺言書を作成することはお薦め出来ません。

⑤について
遺言書を書いて、法務局(遺言保管所)に保管して終わりではありません。
関係者の氏名、住所等の変更が生じた場合、速やかに法務局(遺言書保管所)に届け出る必要があります。
この届け出を怠っていると、遺言者の死亡後の手続きにおいて、これらの者の特定が困難になったり、法務局(遺言書保管所)からの通知が届かない等、遺言の内容の実現が困難になる可能性があります。

⑥について
相続人が多くの相続証明書を集めないと、遺言書情報証明書の請求が出来ません。

以上を踏まえ、自筆証書遺言保管制度を使うのが、残された相続人等にとって望ましいのかご検討の上、ご活用ください。